今回は、さしすせそシリーズの第2弾「塩」を極めるです。
皆さん、塩はどのようなイメージをお持ちですか?
- 塩分の摂り過ぎは良くない。
- 熱中症を抑えるには塩を少量なめた方が良い。
- 伯方の塩や赤穂の塩など、美味しい塩があるみたい。
- 以前は専売公社として国が管理していた。
などなど
空気や水が私たちが生きるために欠かせない物質であるように、「塩」も私たちが生きるために必要な物質と言われています。
それでは、生きるための必要な塩の働きについてまとめてみます。
塩の働き
- 体内の浸透圧の調整
- 体液のph値の調整
- 細胞内外の物質交換の調整
- 他の栄養素の消化・吸収のサポート
- 筋肉の動きと神経伝達をサポート
など
塩は私たちの身体の中で、様々な役割を担っています。
「もし、塩分がなくなったら人間はどうなるの?」と心配もありますが、それはいらぬ心配のようです。
加工食品を始め、味噌や醤油などの調味料や自然な食材にも塩は含まれている為、通常の食生活においては、塩分の摂り過ぎはあっても不足は先ずありえないようです。
では料理についての塩の役割はどうなのでしょうか?
料理における塩の役割
料理は科学と言われるように、塩は味付けだけではなく、料理に於いては様々な目的で使用されます。
色止め
野菜の色素が抜けないようにする、リンゴなどの変色を防ぐなど。
脱水・防腐
水分減らし細菌の繁殖を抑える。
冷やす
水に氷と一緒に混ぜて、スイカを早く冷やすなど。
タンパク質を固める
焼き魚など、表面を内部より早く固めて中の水分を逃がさないようにするなど。
食べ物を柔らかくする
豆腐をゆでるときに固くなるのを防ぐなど。
その他、食材の臭み・ぬめり・あくを取ったり、貝の砂抜きなど様々な目的で塩は利用されます。
一日の塩分摂取目標量はどれくらいがいいの?
塩分の摂り過ぎは良くないと聞きますが、どれくらいに抑えれば良いのでしょうか?
塩分の摂取量の目標値
○厚生労働省 2015年4月1日改定
18歳以上の男性は8g未満
18歳以上の女性は7g未満
高血圧の治療を要する場合は6g以下
○WHO(世界保健機関)
WHO(世界保健機関)では5g未満
これは、抑える目標値であって、本当に必要な量は2g程度で十分とも言われています。
塩を摂りすぎるとどうなるの?
厚生労働省の調査によると、2013年の日本の成人1人当たりの塩分平均摂取量は男性が11.1g、女性が9.4gとなっています。
目標と大差ないような気もしますが、これは平均値です。アメリカ人の8.8gと比較しても、日本人は、世界に比べ塩分の摂取量が高いことが解ります。
塩分の摂り過ぎによる病気には下記の物が代表されます。
- 高血圧症
- 腎臓疾患
- 不整脈や心疾患
塩の種類
塩の元となるのは主に3つありますが、元をたどれば全て海水と言えます。
世界の、塩の生産量の3分の2以上が岩塩から作られていると言われ、最も身近で手軽な存在なのですが、残念ながら日本には存在しません。
- 海水:海の水
- 湖塩:地殻変動によりできた濃度の高い塩水の湖
- 岩塩:湖塩が完全に干上がって塩分が結晶化されたもの
日本では、岩塩が存在しない為、海水を塩田に引き込んで塩に加工すると言う面倒な製法が採られています。
「天日製塩法」と呼ばれる製法は太陽熱や風などの自然を利用した製法ですが、高温多湿の日本においてはそれさえ難しく、塩浜と呼ばれる海水を濃縮し更に煮詰めると言う工程を経て塩を作成していました。
海水 |
天日製塩法 |
※平釜煮詰め製法(揚浜式塩田・入浜式塩田・流下式塩田など) |
|
※イオン交換膜製法(精製塩) |
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湖塩 |
天日製塩法 |
岩塩 |
乾式採鉱法・溶解採鉱法 |
※日本の主な製法
塩浜には、揚浜式塩田、入浜式塩田、流下式塩田などがあり、NHKの朝ドラ「まれ」の桶作元治(がんじさん)の塩のモデルがこれ(揚浜式塩田)になります。
(人力で海水を集め潮撒きする姿が印象的でしたね)
工程のほとんどを人力で行うのは大変で、量産も難しいことから、日本では「イオン交換膜法」と言う独自の製法が発展しました。
塩分が陽イオンと陰イオンに分かれていることに着目し、電気の力を利用して海水を濃縮する製法で、立釜法と表現される場合もあります。
現在の日本では主流の製法となります。
また、日本では専売公社がタバコと同じように塩も独占で管理していた背景もあり、民間企業が自由に塩を販売することは出来ませんでした。
(1997年に専売法が廃止されました)
塩の疑問のあれこれ
伯方の塩、赤穂の天塩などは何が特別なの?
国産の塩として知られる「伯方の塩」や「赤穂の天塩」も原料は、メキシコやオーストラリアの天日塩を利用しています。これは突き詰めるとコストによる為です。
しかし一番の違い(こだわり)はその製法にあります。再度日本の海水で溶解して作成する方法は、昔ながらの「流下式塩田塩」をお手本としており、大量生産で低コストが可能な一般の食塩と差別化を図っています。
味塩(アジシオ)って普通の食塩と一緒なの?
アジシオは味の素の商品名になります。
塩に、味の素(うま味成分)を加えたものになり、食卓でよく利用されています。調理用の食塩とは分けるのが一般的です。
日本は海に囲まれているけど大半が輸入なの?
日本の塩の輸入数は世界でも有数ですが、そのほとんどは工業用です。
食塩としての精製塩はもちろん、現在はかなり多くのこだわりの塩を、日本でも生産しています。
まとめ 塩の選び方
資源の少ない日本では、塩を確保するのも大変だったと言う歴史が良く解りました。
で、結局どの塩が良いのかですが、我が家ではいくつかの塩を使い分けています。
食卓塩・アジシオなど
⇒生野菜や完成料理で物足りない時のアクセントに使用。
一般精製塩(イオン交換膜製法)安価なタイプ
⇒ゆで卵やパスタ、貝の砂抜き、他調理全般に使用。
伯方の塩など(平釜煮詰め製法)高価なタイプ
⇒漬物、おにぎり、天ぷら、他料理全般に使用。
岩塩、わさび塩・抹茶塩などの合わせ塩
⇒お肉屋や魚、トマトなどのアクセントに使用。
おまけ
NHK連続テレビ小説「まれ」の桶作元治さんのお塩(通称がんじさんの塩)をどうしても一度試したくてネットを探してみました。(残念ながら現在は販売中止でした)
同じく、能登のこだわりの塩、珠洲塩(一番釜)もおすすめです。